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中国が南シナ海に関する交渉を呼びかけ:「関係ない」としてインドネシアが中国に肘鉄

中国が南シナ海に関する交渉を呼びかけ:「関係ない」としてインドネシアが中国に肘鉄

FORUMスタッフ

南シナ海を巡る主張の相違に関して、中華人民共和国(中国)側が呼びかけた交渉による解決を、インドネシア政府は「交渉する妥当な理由は存在しない」として一刀両断に拒否した。

インドネシアは中国政府との間に領有権紛争は存在しないする姿勢を一貫して通しているが、インドネシア外務省で国際法と条約を担当するダモス・デュモリ・アグスマン(Damos Dumoli Agusman)事務局長は今回も同様の声明を繰り返した。

2020年6月上旬、ラジオ・フリー・アジア(RFA)系列のオンラインニュースサービスであるBenarNewsに対してアグスマン事務局長は、1982年の国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約/UNCLOS)に基づき、「中国が一方的に主張する海洋権益の重複は存在しないとインドネシアは認識していることから、海上境界に関する交渉を行う意味はない」と述べている。

中国政府はインド太平洋地域で緊張と意見相違の焦点となっている海域の一部の海洋権益に関して主張が相違するとする書簡を国際連合事務総長宛に発出しているが、アグスマン事務局長が同声明を発表したのはその数日後のことである。ラジオ・フリー・アジアによると、実は中国が同書簡を発出する前に、インドネシアは中国の九段線の存在を認めないとする書簡を先にアントニオ・グテーレス(Antonio Guterres)国連事務総長に宛てていた。

中国が一方的に地図上に引いた九段線に基づくと、西沙諸島(パラセル諸島)と南沙諸島(スプラトリー諸島)を含む海域の大部分が中国の領土となる。2016年、ハーグに所在する常設仲裁裁判所が九段線に法的根拠はないとの判決を下したにも関わらず、その判定を無視して攻撃的な戦術を継続する中国に対して多くの諸国から正式な抗議が提起されている。中国はさまざまな作戦を実施しているが、中でも同紛争海域に人工島を建設して軍事施設を配置した事実は特筆に値する。

ラジオ・フリー・アジアが伝えたところでは、インドネシアが国連に宛てた書簡には、「中国の歴史的権利を示唆する地図上の九段線は明らかに国際的な法的根拠を欠いており、これは1982年の国連海洋法条約違反に等しいとインドネシアは繰り返し主張する」と記されている。さらに、同外務省報道官の発言によると、九段線は国際的に認められているインドネシアの排他的経済水域(EEZ)を横切っている。

設定された370キロの排他的経済水域内では、海洋や他の天然資源に関してインドネシアは特別な権利を有する。CNNニュースが報じたところでは、2019年後半、ナトゥナ諸島周辺で中国漁船が漁業を開始したことが発端となり、同海域で両国の船舶間で睨み合いが発生した。インドネシアは事態に対応するために、戦闘機と海軍艦艇を同海域に派遣している。(写真:2020年1月、南シナ海哨戒任務のためにプカンバル空軍基地からの出発準備を整えるインドネシア空軍のF-16戦闘機)

翌月、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟諸国の外務閣僚等は「地域の信頼性と安心感の低下、緊張の高まり、平和・安全・安定の喪失に繋がり得る[南シナ海における]海域の埋立、最近の開発、重大な事態」への懸念に関する声明を発表している。

CNNニュースが報じたところでは、2020年4月、西沙諸島付近で中国海警局の船舶がベトナム漁船に衝突して沈没させるという事件が発生しており、このときもベトナムは排他的経済水域の主権を再確認する書簡を国連に送付した。

観測筋によると、他の諸国が2019新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)パンデミックおよびその結果として発生した経済的影響への対処に注力している隙を突いて、中国は南シナ海で好戦的な態度をより強化している。緊張がますます高まる中、ベトナム、マレーシア、中国が領有権を主張する海域付近で米豪が海軍艦船を派遣して合同演習を実施しており、米国は「航行の自由作戦(FONOP)」を推進している。

2020年6月1日に国連のグテーレス事務総長に宛てた書簡の中で、米国のケリー・クラフト(Kelly Craft)国連大使は、米国は「中国が主張する南シナ海における中国の『歴史的権利』に異議を唱える」と述べている。

クラフト国連大使はまた、「中国が南シナ海でこのように広大な領土を主張していることで、航行の権利や航行の自由など、すべての国家が享受するべき権利と自由が制限される」と記している。

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