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エネルギー自立に向けて高い目標を設定する日本防衛相と自衛隊

ヘッドライン | Jan 20, 2020:

Felix Kim(フェリックス・キム)

日本の防衛相は二酸化炭素排出量の削減およびエネルギー自給率を促進する取り組みとして、自国の防衛関連施設で可能な限り再生可能エネルギー比率100%を目指す意向を明らかにした。

2019年12月23日の記者会見で、全国の防衛省・自衛隊(JSDF)の施設における電力調達方法の見直しを指示したと発表した河野太郎防衛相は、「(前略)可能な限り再生可能エネルギーの比率の高い電力を調達することを、すべての施設においてできるように事務方に指示をしたところでございます」と述べている。

河野防衛相は「初めての試みでございますし(中略)『正直』やってみないとわからないですが(後略)」、再生可能エネルギーの比率増加に向けて努力する必要があると強調している。同防衛相はまた、「気候変動の問題は、自衛隊にとりましても他人事ではないと肝に銘じて、自衛隊としてもできることをしっかり今後さまざまやってまいりたいと思います」と語っている。

日本全国に基地や駐屯地を置く自衛隊の総兵力は約25万人に及ぶ。防衛省の主要目標は再生可能エネルギー比率100%の実現であるが、他にも電力供給の安定性の確保、競争性の確保、低廉な価格の実現、自衛隊施設周辺の地域に根ざした電力事業者等の活用などを見直しの方向性として挙げている。

同防衛相は、「今、様々な地域で地域の特性を利用して、太陽光・風力・小水力、さまざまな電力を供給できる体制がそれぞれ整っております(後略)」と説明し、「(前略)自衛隊としても良き隣人として、そうした地域の地域に根差した電力供給者から調達をしていきたいと思っております」との姿勢を示した。

一部の日本企業が航空燃料の生産にバイオテクノロジーを使用する研究に取り組んでいることを指摘した上で、再生可能エネルギー源にバイオ燃料も含めるとした同防衛相は、「(前略)そういうところと連携を取って、自衛隊としても必要なサポートが何かできるところがあれば、やっていくことを検討していきたいと思っております」と述べている。

全国のエネルギー供給網の調整や新しい価格設定計画など、日本政府が全分野における再生可能エネルギー調達の推進措置を講じる中、同防衛相から上記の発表が行われた。日本のエネルギー基本計画はエネルギー政策基本法に基づき3年ごとに検討されるが、2010年版のエネルギー基本計画では、2030年までに国のエネルギー消費の22%〜24%を再生可能エネルギーにすることを目指している。(写真:千葉県市原市に所在する日本最大の水上太陽光発電所。5万904枚のソーラーモジュールを採用したこの山倉水上メガソーラー発電所の年間発電量は約1万6,170MWh(メガワット時))

日本では最近、事業者の優遇により国民負担が増大したことで、再生可能エネルギーの導入を強力に促進するための特別措置として2012年7月に導入されたFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)が廃止された。経済産業省は事業者に卸売エネルギー市場での販売を義務付け、より低価格を提供する欧州モデルに基づく新制度に移す考えである。

河野防衛相は「(前略)さまざまな化石燃料よりも再生可能エネルギーのコストのほうが安くなっているわけで(後略)」と指摘し、地球のコストという観点から、再生可能エネルギーが高価であるという考えを否定している。

世界原子力協会(WNA)によると、日本は現在、エネルギー需要の約80%を燃料輸入に依存している。この輸入率の高さは、元々の天然資源不足および2011年の福島第一原子力発電所事故後の原子力発電所閉鎖が要因となっている。そのため、エネルギーの自立性を促進する上で、再生可能エネルギーは環境に優しい手段と見なされている。同防衛相は、「最終的には再生可能エネルギーは国産エネルギーでありますので、防衛省・自衛隊として、この輸入エネルギーに頼らないそういう体制が取れれば、強靭性を確保することにも繋がっていくと思います」と述べている。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者

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