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カシミール緊張緩和に向けて印パ交渉開始

FORUMスタッフ 2019年3月上旬、パキスタンに拘束されていたインド人パイロットが解放された。これは、過去数十年来、最悪レベルに高まっていた両国間の軍事的緊張を緩和する好機になると考えられている。 2019年3月1日、パキスタンは、インド空軍のアビナンダン・バルタマン(Abhinandan Varthaman)中佐の身柄をインド当局に引き渡した。同中佐は両国が領有権を争うカシミール地方でその戦闘機が撃墜された後に拘束された。 パキスタン当局は「平和の意思表示」としてパイロットを解放すると表明している。 ロイター通信によると、パキスタンのシャー・マヘムード・クレーシ(Shah Mahmood Qureshi)外相は、実際の身柄引き渡しの数時間前にパキスタン東部のラホール付近の陸路国境を指定し、「平和の意思表示として両国の緊張緩和につなげるため、当国が捕らえていたインド人パイロットを本日の午後にワーガ国境で解放する」と語った。 (写真:2019年3月1日、パンジャーブ地域のワーガ国境におけるインド空軍パイロット、アビナンダン・バルタマン中佐の身柄引き渡しの生中継を見る男性) バルタマン中佐の解放により、インドがパキスタン領内の標的を空爆するなど緊張が続いた南アジアの1週間に幕が下りた格好となった。ブルームバーグが伝えたところでは、インド当局はジャイシュ=エ=ムハンマド(JeM)組織のテロリスト訓練キャンプを爆撃したと発表している。同組織は2019年2月14日にカシミール地方のインド占領地で自爆テロ攻撃を行い、40人のインド治安要員を殺害したとされる集団である。 ヒマラヤ山脈地帯にあるカシミールは両国が全土領有権を主張しているが、現在それぞれにより部分的に支配されている地域で、1947年以来3度の印パ紛争の導火線となっている。バルタマン中佐の解放日も含め、支配地域を分離する実効支配線(停戦ライン)は両側から両国軍隊により厳重警戒が固められており、定期的に衝突が繰り返されていると、ガーディアン(The Guardian)紙は報じている。...

司令官:中国政府は「自由で開かれた」インド太平洋に対する最大の脅威

フォーラムスタッフ 北朝鮮による核の脅威、中華人民共和国(中国)の大規模な軍事現代化に向けた取り組み、およびロシアによる米国の国益を損なう試みは、インド太平洋における平和を維持するうえで重要な課題であることが、2019年2月中旬、米国最高司令官より議員に対し報告された。 シウィアメリカインド太平洋軍 (USINDOPACOM) 司令官フィリップ・S・デービッドソン(Philip S. Davidson)大将は、「自由で開かれた」インド太平洋に対して、五つの主な脅威があると考えている事をアメリカ合衆国上院軍事委員会で伝えた。まずデービッドソンは北朝鮮がもたらす核の脅威を、最も差し迫った脅威であると見ている。しかし、中国が「自由で開かれたインド太平洋と米国に対する長期的戦略上の最大の脅威」であるとも述べている。 ロシアはさらに、「可能な限りいつでもどこでも、米国の国益を損ない、米国および同盟国に負担をかける」事を定期的に試みているとも付け加えている。 暴力的な過激派組織の勃興、熱帯低気圧、地震、津波の多い地域の自然災害による絶え間ない脅威なども、その他の重要な課題として挙げられる。 過激派からの脅威に関しては、「20万人を超える人々の都市であるフィリピン南部マラウィ市が、2017年にISISの過激派によって占拠されたことからも明らかである」とデービッドソンは述べている。 中国が引き起こす長期戦略に関する課題についての議論で、デービッドソン(写真)は、議員に人民解放軍(PLA)は、いわゆる第一列島線の中で最大の脅威であると述べている。この列島線とは、日本北部から台湾、フィリピン、インドネシアまでにわたる島々を指している。 中国政府は、軍事資産の近代化と、当該地域内の軍用プラットフォームの数を増やすための努力を一心不乱に続けてきた。新たに配備されたシステムには、2018年中旬に初度作戦能力を実現した、中国初の空母グループが含まれている。中国政府が初めて国内製造した空母は2019年に人民解放軍海軍艦隊に加わり、2018年2月より中国初の第5世代ステルス戦闘機J-20が就役する可能性があると見られている。...

中国の侵略、脅迫に対抗するために航行の自由作戦(FONOP)を継続する国家

フォーラム スタッフ 米インド太平洋軍司令官のフィリップ・デービッドソン(Philip S. Davidson)大将は、中国の南シナ海および経済分野における攻撃的な行動は、 当該地域の貿易と移動の自由に対する脅威である、と話した。 「恐怖と脅迫により、北京は既存の法治に基づく国際秩序を曲げ、破壊し、取って代わろうと、イデオロギーの形態拡大に取り組んでいる」と、2019年2月中旬に米国上院軍事委員会に伝えている。「中国政府はその代わりに、中国が先頭に立つ中国的な特徴を持つ新しい秩序を創ろうとしており、70年以上にわたり続いてきたインド太平洋の安定と平和が取って代わられてしまう。」 デービッドソンは、米国およびその他の国々は中国が領有権を主張している範囲を拡大使用とするのを拒否し、法治に基づく秩序に対する挑戦を容認しないことを示すために、南シナ海および他の地域で日常的な航行の自由作戦(FONOP)を継続していると話している。 デービッドソンの証言の前日、2隻の米国ミサイル駆逐艦、USSスプランスとUSSプレブル(USS Spruance および USS...

ベトナムにおけるトランプ米大統領と金正恩最高指導者による首脳会談はWin-Win

AP通信 ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩最高指導者による第2回米朝首脳会談の開催地としてベトナムが選択された理由は、主に利便性と安保の問題であるが、これに大きな利害関係が絡んでいないとは言い切れない。 2019年2月27日から28日にかけて開催が予定されている同会談における米政府の交渉目標は、北朝鮮に核兵器を放棄させることにある。北朝鮮は当問題をより狭義に枠にはめ、在韓米軍による「核の脅威」の除去を求めている。 開催国ベトナムは、同国が権利を主張する南シナ海水域の領有権に対抗する隣の大国、中華人民共和国(中国)への外交的影響力を高めることを目論んでいるとみられる。 米国の敵国として共産党率いる政治体制の下、自らの条件でダイナミックな自由市場経済へと移行したベトナムの歴史を考慮すれば、同首脳会談に対してより大きな含意があることが分かるであろう。 「ベトナムを選択することで、過去の米ベトナム関係の例に従って、旧敵国と友好を結び、世界をより良く改善するという画期的な決断を下す意思があるという強い戦略的メッセージを両国首脳は世界に送ることができる」と、シンガポール国立大学公共政策専門課程、LKYSPP(Lee Kuan Yew School of Public Policy)のブ・ミン・クオン(Vu...

「コブラ・ゴールド19」共同訓練の一環として、人道支援・災害救援演習を実施

メアリー・ローズ・ミトルステッド曹長 2019年2月11日、米軍とタイ軍の主催による第38回「コブラ・ゴールド(Cobra Gold)」共同訓練の一環として、第2回年次人道支援・災害救援図上訓練(HADR TTX)がタイのピッサヌローク県で開会式と共に開始された。9ヵ国が参加した同行事は、災害管理・人道支援の中核研究拠点(Center for Excellence in Disaster Management and Humanitarian Assistance)ディレクターであるジョセフ・マーティン(Joseph...

近隣諸島の経済と軍隊強化を支援するオーストラリア

トム・アブケ(Tom Abke) オーストラリアは、太平洋諸島フォーラム(PIF)を構成する18の島国と地域の中で最も人口が多く、最大の経済と国軍を備えており、その資源を利用して、安全かつ安定した地域という未来像を近隣諸国と共有している。 これまでもオーストラリア政府首脳陣は、自国が掲げる太平洋の未来像について、ニュージーランド、フィジー、パプアニューギニア、ニューカレドニア、そして小国であるツバルとニウエなどの諸国と議論してきた。 FORUMに対する声明書の中で、「オーストラリアは太平洋の同盟国と協力して、戦略的にも経済的にも安定し、政治的にも安全な太平洋地域を構築することを望んでいる」と述べたオーストラリア国防省(DOD)は、「太平洋地域は私たちの住処である。したがって、太平洋地域は当国の外交政策における最優先事項の一つである」としている。 オーストラリアは近隣諸国が超国家的犯罪や天然資源の違法搾取への対策を講じることでその海洋安保を強化し、人道支援・災害救援(HADR)を提供することを望んでいるとするDOD声明において、「機能・能力開発イニシアチブと共に実践し、戦術的、運用的、戦略的レベルにおける草の根的なつながりによりセキュリティへの焦点が強化される」と説明している。 この地域に対するオーストラリア政府の長期的貢献の証となる防衛協力計画により、同国はHADRだけでなく、海上保安、工学、訓練にも焦点を当てながら、毎年数千万ドルをパプアニューギニアなどの太平洋諸島に寄付し、オーストラリアの要員を東ティモール、トンガ、ソロモン諸島などに派遣している。(写真:オーストラリアのキャンベラ国会議事堂でソロモン諸島のリック・ホウエニプウェラ首相を歓迎するスコット・モリソン豪首相(右)) 他の貢献として挙げられる太平洋哨戒艇計画とその後継計画である太平洋海事安全計画について、DODは「同計画により哨戒艇と持続的支援を提供することで、太平洋島嶼国は海上安保に関わる問題に対処する能力を構築できる」と説明している。 1980年代に開始され、1997年までPIF加盟国に哨戒艇、訓練、支援を提供してきた太平洋哨戒艇計画の後継計画となる太平洋海事安全計画はより規模が大きく、今後30年間に太平洋島嶼国に対して更なる哨戒艇だけでなく、地域の統合空中査察機能と地域調整強化に向けた取り組みを提供する15億米ドル規模の貢献が見込まれている。 オーストラリアの近隣諸国に対する支援は広範囲に及んでいる。 DOD声明では、「オーストラリア国防省は太平洋安保能力を強化する重要なインフラプロジェクトに関してパプアニューギニア、フィジー、バヌアツと提携する」とし、「これらのプロジェクトには、マヌス島にあるロンブラム海軍基地の再開発、フィジーの軍基地であるブラックロックキャンプ(Blackrock Peacekeeping...

フィリピン、脅威の増大に伴いサイバー対策を強化

トム・アブケ(Tom Abke) 国の重要なインフラと一般大衆に対するサイバー脅威に備え、フィリピンは国家のサイバーセキュリティを強化しつつある。 2019年1月中旬に設立されたサイバーセキュリティ管理システムプロジェクト(CMSP/Cybersecurity Management System Project)(写真参照)により、フィリピン政府の情報通信技術省(DICT)は信頼性が高く回復力のある情報インフラを構築することを目指している。いわゆる「インフォストラクチャ(情報サービス基盤)」である。 DICTのエリセオ・M・リオ・ジュニア(Eliseo M. Rio Jr.)長官は、「このCMSプロジェクトの立ち上げを優れた足掛かりとして、サイバー領域で市民を保護する務めにおいて当国は継続的に勇敢な行動を取っていく構えである」と公式発表で述べている。 リオ・ジュニア長官は、CMSPにより、サイバー攻撃前、攻撃中、攻撃後の対応に関する国の能力を強化できると強調しており、9つの政府機関の機能が共同し、それをDICTと整合させることでその強化を実現できると、アラン・S・キャバンロング(Allan...

「アイアンフィスト2019」により日米同盟を強化

「アイアンフィスト2019」により日米同盟を強化 水陸併用戦能力を強化するために荒海を分け、迅速な戦闘作戦をシミュレートしながら、海洋でシームレスに協力体制を図る能力を磨くための「アイアンフィスト(Iron Fist)2019」。 日本陸上自衛隊(JGSDF)と米海兵隊から数百名が参加し、カリフォルニア州南部沿岸で1ヵ月以上にわたって実施されたこの日米共同訓練が2019年2月15日に幕を閉じた。14回目を迎えた同2ヵ国間訓練の内容は、近年の動向に沿うように、主に人道支援に焦点を合わせた活動から離島奪還作戦を中心とする演習へと移行された。 陸自に新編された部隊、水陸機動団(水機団)[ARDB] を支援するために日本が独自の水陸両用強襲輸送車を手配したのは今年が初めてである。地上部隊、航空支援、物流能力を組み合わせた水機団は、離島の防衛と人道的支援を提供することを目的としている。 サンクレメンテ・タイムス(San Clemente Times)紙に対して、「厳しい治安環境を考慮した上で、さまざまな脅威から国民の生活、安全、平和を守るために、陸自は最大とも言える改革を遂げた」と説明する陸上総隊司令部幕僚長の藤田裕和陸将は、「新編されたは水機団は離島を守り、あらゆる種類の緊急事態に対応するための陣頭指揮を執る部隊である」と語っている。 人員の演習から始まり、実弾射撃訓練も含まれる「アイアンフィスト」訓練により、「同盟としての能力を強化し、迅速に配備することで危機的事態や敵による潜在的脅威に確実に対応できる能力を養うことができる」と、ニュースリリースでは発表されている。 日本では2大国が列島の所有権を巡って対抗する領土問題が長期にわたって続いていることから、同訓練では離島防衛作戦のシミュレーションも実施された。 現在、北海道の北東からカムチャツカ半島を結ぶように56個の島が点在する火山列島、クリル諸島(千島列島)は全島がロシアの統括下にあるが、日本は最南端の4島を北方領土として権利を主張している。...

ドゥテルテ比大統領、フィリピンの国名変更に対する意向を再度表明

FORUMスタッフ 植民地時代の名残りとされる「フィリピン」という国名の変更を主張するロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)比大統領の最近の発言により、同国の新たな国名が「マハルリカ(Maharlika)共和国」となる可能性を再びメディアが報じている。 ニュース報道によると、これまでもフィリピンという名称のスペイン植民地時代のルーツに度々目を向けてきたドゥテルテ比大統領は、同国のマレー人としてのアイデンティティを呼び起こす国名に変更する意向を表明している。提案されている新国名「マハルリカ共和国」は、フィリピンの独裁者、フェルディナンド・マルコス元大統領の意向を支持するものである。 「マハルリカ」は現地語で「王族」を意味するものであるが、一部の翻訳では「気高い」と解釈することもできる。 2019年2月にドゥテルテ比大統領は「いつの日か変更しよう」と述べたとニュースは報じている。 1965年から1986年までフィリピンで権力を握ったマルコス元大統領は、マルコス政権下で国名を「マハルリカ」に変更しようしていた。アラブ首長国連邦の英字紙、ザ・ナショナル(The National)によると、第二次世界大戦中に活躍していたとマルコスが主張するゲリラ部隊が「マハルリカ」という名称であり、フィリピンを軍の支配下に置いた後、同元大統領は国家主義を推進するための新国名として「マハルリカ」を選んだとされる。 同元大統領は1978年に正式に国名変更を求めたが、承認されなかった。多くが腐敗した独裁者であると考えたマルコスを連想させることから、この改名案は後に立ち消えになったと、同ザ・ナショナル紙は報じている。 ドゥテルテ政権のサルバドル・パネロ広報担当者はザ・フィリピンスター(The Philippine Star)紙に対して、ドゥテルテ比大統領は国名改名に関する正式な計画を策定しているわけではないとしながらも、同大統領はスペインのフィリップ2世にちなんで付けられたフィリピンという名称を引き続き批判していると付け加えた。...

中国によるアフリカ豚コレラ抑制政策に懸念の声

FORUMスタッフ アフリカ豚コレラが猛威を振るっている中華人民共和国(中国)において適切な情報共有姿勢と透明性が欠如していることから、同コレラ流行が深刻化する可能性があるとして、一部の専門家が警鐘を鳴らしている。2019年2月のロイター通信によると、これまで中国では他諸国よりも急速に同コレラ感染が拡大している。 2019年2月上旬にCNNが報告したところでは、2018年8月から2019年1月までの6ヵ月間に、中国では約100万頭の豚が殺処分されている。2018年8月3日に初の感染が中国で確認されて以来、中国全土では少なくとも21省市に拡大しており、100件の農場が被害を受けたと、ロイター通信は伝えている。 養豚産業での感染が拡大し、国全土にわたる数百万件もの小規模養豚場に被害が及ぶ可能性があるため、中国で流行を抑制するために更なる選択的殺処分が必要になると、アナリスト等は分析している。現行の規制では、感染が確認された農場における豚全頭の殺処分が義務付けられてはいるが、政策が実際に執行されるかどうかは依然として疑問の残るところである。 中国北東部の黒竜江省で7万3,000頭に上る大量殺処分が実施された後、China-America Commodity Data Analytics(芝华数据)のコンサルタント、ヤオ・グイリン(Yao Guiling)アナリストは、「アフリカ豚コレラの状況は悪化の一途を辿っている。小規模農場、大規模農場、食肉処理場、飼料会社など、基本的に生産チェーン全体に被害が及んでいる」とロイター通信に語っている。以前、影響が出ているのは小規模農場だけであると専門家等は考えていたのである。 ロイター通信によると、価格低下と疾病管理制限により2019年の生産量が20%落ち込む可能性があることから、数万件に及ぶ小規模農場が閉鎖に追い込まれるとみられている。 CNNの報告では、中国の豚肉生産量は年間約7億頭に達しているが、その輸出量は年間約160万頭に過ぎない。ロイター通信はまた、2016年のデータに基づき、小規模農場が中国の生産量の約40%を占めていると報じている。 香港城市大学の感染症専門家、ダーク・ファイファー(Dirk...