Uncategorized

ベトナムにおけるトランプ米大統領と金正恩最高指導者による首脳会談はWin-Win

AP通信

ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩最高指導者による第2回米朝首脳会談の開催地としてベトナムが選択された理由は、主に利便性と安保の問題であるが、これに大きな利害関係が絡んでいないとは言い切れない。

2019年2月27日から28日にかけて開催が予定されている同会談における米政府の交渉目標は、北朝鮮に核兵器を放棄させることにある。北朝鮮は当問題をより狭義に枠にはめ、在韓米軍による「核の脅威」の除去を求めている。

開催国ベトナムは、同国が権利を主張する南シナ海水域の領有権に対抗する隣の大国、中華人民共和国(中国)への外交的影響力を高めることを目論んでいるとみられる。

米国の敵国として共産党率いる政治体制の下、自らの条件でダイナミックな自由市場経済へと移行したベトナムの歴史を考慮すれば、同首脳会談に対してより大きな含意があることが分かるであろう。

「ベトナムを選択することで、過去の米ベトナム関係の例に従って、旧敵国と友好を結び、世界をより良く改善するという画期的な決断を下す意思があるという強い戦略的メッセージを両国首脳は世界に送ることができる」と、シンガポール国立大学公共政策専門課程、LKYSPP(Lee Kuan Yew School of Public Policy)のブ・ミン・クオン(Vu Minh Khuong)准教授は語っている。

悲劇的と捉えるか崇高と捉えるかに関わらず、米国による過去のベトナムへの軍事関与により、トランプ米大統領は同政権の外交政策の成果に再度世界の目を引き付ける劇的な歴史的舞台を得ることができる。

一党独裁制として厳格な政治統制と効率的な治安体制を誇るベトナムは、中部沿岸都市のダナンで開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)会議および首都ハノイで2018年に開催されたASEAN世界経済フォーラムを成功裏に主催している。

「第1回会談を行ったシンガポールのように、ベトナムはとても安全な場所である」とするワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)東南アジアプログラムのマレー・ヒーバート(Murray Hiebert)副ディレクターは、「ベトナムの公安(警察)はジャーナリストを指定場所に留め、群衆の好奇心から守ってくれるだろう」と話している。

同副ディレクターはまた、2017年のAPEC閣僚会議にも出席したトランプ米大統領は、「ベトナムに精通しており、同国首脳陣とも良好な関係を築いている」と述べている。

また、「南シナ海領土問題に関して中国との対立が続いているベトナム政府は、中国政府に対する防止策として地域的・国際的な外交的支援を求めており、こうした首脳会談を主催することで明らかに同国の国際的側面を強化することを意図している」とも語っている。

特に、米政府が北朝鮮に対する政策目標を達成するのを支援することで、ベトナムと米国のより緊密な関係を構築して貿易と投資を促進し、米国を戦略的防壁として利用するという同国の欲求を満たすことができる。

トランプ米大統領が経済の自由化を目的とした経済連携協定である環太平洋パートナーシップ協定を離脱したことで、ベトナムは米国市場への参入の狙いが外れ、さらに同地におけるこれまでの深刻な人権問題、特に政治的反対派に対する激しい弾圧によりベトナムは米国との関係構築の機会を喪失してきた。

シンガポールに所在する東南アジア研究所(ISEAS Yusof Ishak Institute)のル・ホン・ヒープ(Le Hong Hiep)研究員は、「首脳会談に関する強烈な報道を通じて、特に観光客や投資家からの大きな国際的注目がベトナムに集まる可能性がある」とし、「また、国際社会だけでなく地域の平和と安全により貢献をしたいとする積極的な外交政策をベトナムが披露できる機会ともなり得る」との見解を示している。

Related Articles

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Back to top button